病気と症状について|天王寺区の心療内科・神経内科・精神科 左診療所 鶴橋駅すぐ

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病気と症状について

てんかん

脳の神経細胞の過剰興奮によって引き起こされる、種々の発作を主徴とする病気です。 発作症状としては「不安感・不快感」といった精神症状から、「意識がなくなる」や「全身けいれん」に至るものまでさまざまな種類があります。

通常は意識消失を伴うため、心疾患・低血糖・椎骨脳底動脈血流不全・貧血などの内科的疾患の可能性もあります。そのためにまず、頭部MRI/MRA・血液検査・安静時心電図・24時間心電図などを行ってそれらの疾患を除外した上で、脳波検査で異常が認められた場合に「てんかん」と診断できます。
さらに、てんかんにはいくつかの類型があり、その類型ごとに使用する薬剤や経過が異なります。

このように、てんかん診療は高度な検査・治療技術が必要なため、専門医療機関が少ないことが問題です。 当院は開院当初からてんかん診療に力を入れており、長年の治療実績があります。

認知症

高齢化に伴い、今後爆発的に増えることが予想される疾患です。 アルツハイマー型認知症(AD)・レビー小体型認知症(DLB)・前頭側頭葉変性症(FTD)・血管性認知症(VD)・正常圧水頭症(iNPH)などが代表的な疾患です。

物忘れや行動異常がみられ、認知症が疑われた患者さんの場合は、まず知的機能検査を行います。HDS-R・MMSEが一般的な知的機能検査です。それらで異常がみられた場合は、頭部MRI/MRA検査と血液検査を行います。高齢発症のてんかんを否定する目的で脳波検査を行う場合もあります。検査結果で認知症の類型を決定し、治療方針が決まります。

AD・DLBの場合は進行を遅らせる薬剤がありますので、薬物療法を行います。

FTDには残念ながら有効な薬剤はありません。ご本人およびご家族に対する生活指導が主な治療になります。

VDは脳梗塞や脳出血の後遺症が原因ですから、脳血管障害の再発予防、つまり血圧・コレステロール・血糖値などの危険因子の改善が主な治療になります。

iNPHに関しては脳外科的な治療が有効です。

いずれにしても病初期に、しっかりした評価を行い、正確な診断をつけることが重要です。
当院においても、近年の認知症患者さんの急増を受け、認知症の診断治療に力を注いでおります。

脳血管障害後遺症

脳梗塞・脳出血などの脳血管の閉塞や破裂が原因で起こる病態です。 重度の場合は認知症になります。一箇所の病変でも失語症などの高次脳機能障害が残ると、日常生活や社会生活上、大きな妨げになります。それによりうつ状態になったり孤立したりという問題が生じます。

最も重要なことは再発予防であり、血圧管理・コレステロール・血糖値などの危険因子の改善が重要です。
うつ状態に対しては薬物療法が必要になる場合もあります。

うつ病

  • 憂うつな気分
  • 興味関心の低下
  • 食欲低下もしくは過食
  • 不眠もしくは過眠
  • 焦燥(落ち着きのなさ)もしくは制止(のろさ)
  • 疲労感・気力の減退
  • 不適切な罪責感
  • 思考力・集中力・判断力の低下
  • 自殺念慮

上記のうち5つ以上の症状が2週間以上続いた場合にうつ病(大うつ病性障害)と診断されます。有病率は約7%で、比較的頻度の高い病気であると考えられます。
男性に比べると女性の有病率は2倍であり、性差が目立ちます。

危険因子としては、遺伝的要因とストレス要因が重要です。両親のいずれかがうつ病である場合、子供に遺伝する確率は2−4倍と言われております。おそらく遺伝的要因にストレス要因が加わって発症するものと考えられます。

双極性障害(Ⅰ型、Ⅱ型)

  • 気分の高揚
  • 自尊心の肥大
  • 睡眠欲求の減少
  • 多弁
  • 観念奔逸
  • 注意散漫
  • 目標指向性活動
  • 困った行動(無茶な買い物・投資・性行動)

上記の症状が5つ以上認められ、それが1週間以上持続した場合は(躁)Ⅰ型、4日以上の場合は(軽躁)Ⅱ型と診断されます。

有病率は0.6%と言われています。
両親のいずれかが双極性障害の場合、子供は8倍なりやすいと言われており、遺伝要因が重要な発症因子です。

1回発症すると90%の人が再発します。
アルコール依存症や摂食障害を合併する頻度が高く、それがさらに治療を困難にします。自殺の危険性は一般人口と比較して15倍に高まると言われております。

パニック障害

  • 動悸
  • 発汗
  • 震え
  • 息苦しさ
  • 窒息感
  • 胸痛
  • 嘔気
  • めまい、ふらつき、気が遠くなる
  • 寒気または熱感
  • 異常感覚(感覚麻痺・うずき)
  • 現実感喪失または離人感
  • 抑制が効かなくなることの恐怖
  • 死に対する恐怖

上記の項目のうち、5つ以上満たしている場合はパニック障害と言われます。 有病率は11.2%でまれな病気ではありません。平均発症年齢は22—23歳と若く、放置すると日常生活や社会生活の大きな影響を残します。

通常は「広場恐怖」を合併します。これは公共の場面:「電車(特に快速)」「高速道路」「美容院」「歯科治療」「ATM」「映画館」などの一定時間自分の意志で出ることのできない閉塞空間に対して恐怖感をもち、回避するようになります。そのことで行動範囲が狭まり、会社に行けない等の社会的な制限はもちろん、日常生活場面でも「家族と一緒でないと電車にも乗れない」、「コンビニにも行けない」と進行し、最終的には何年も引きこもってしまうこともまれではありません。

(鑑別疾患) 甲状腺機能亢進症などの内分泌代謝性疾患、心疾患、側頭葉てんかん、慢性閉塞性肺疾患、喘息、喫煙・カフェインの過剰摂取などが挙げられます。それぞれの症状の特徴を見ながら初期段階で必要な検査を行います。

強迫性障害

  • 強迫観念:
    繰り返し起こる思考で、それが不安の原因になる。それを無視したり、押さえ込もうとしたり、別の儀式で乗り切ろうとする。
  • 強迫行為:
    繰り返す行動(手を洗う、順番に並べる、確認する)または心の中の行為(数を数える、言葉を繰り返す)を決まり通りの行わないと気が済まない。これは不安を回避するために行われるが、現実的ではない方法であることを自覚している。

上記の強迫観念・強迫行為のいずれかもしくは両方が存在する場合、強迫性障害と診断されます。有病率は1-2%、女性が若干多いと言われています。

鍵をかけたかどうか心配になり、出かける時には何度も鍵をかけ直し、駅に向かう途中気になって何度も家に引き返し、結局約束の時間に間に合わないなど、社会的に大きな問題を引き起こします。日常生活場面でも、何かに触れる度に手を洗わないといけないと考えて、手を洗うこと以外何もできなくなります。大切なものを捨ててしまう不安から、何でも溜め込んでしまい、家がゴミ屋敷のような状態になる方もおられます。

全般性不安障害

  • 仕事・学業・健康など様々な領域の不安心配が常にある(6ヶ月以上)
  • 自分でその心配を制御することができない
  • 落ち着きがない
  • 疲れやすい
  • 集中困難
  • 怒りっぽい
  • 筋肉の緊張がある
  • 睡眠障害

上記の5つ以上を満たせば、全般性不安障害と診断します。 生涯有病率は9%、女性は男性の2倍多いと言われています。発病時期は児童から老年期まで様々です。そのために不安のテーマも学業・スポーツ・仕事・夫婦関係・子供の将来・健康など様々です。単なる心配性と思われる傾向がありますが、うつ病に発展する可能性があり、医学的に適切に対処する必要があります。

心的外傷後ストレス障害(以下PTSD)

  • 自分が死ぬかも知れない状況に直面したもしくは目撃した(必須)
  • その時強い恐怖・無力感があった(必須)

再体験

  • 出来事が繰り返し頭に浮かぶ
  • 出来事に関連した夢を繰り返し見る
  • 出来事がまた起こったように感じたり、行動する
  • 出来事を思い出しやすい状況に対して苦痛に感じたり、身体に症状がでる

回避

  • 出来事に関連した考え・感情・会話・行動・場所・人を避ける
  • 出来事の重要な面が思い出せない
  • 自分にとって大切な活動に関心が向かない
  • 他の人から孤立しているという感情がある
  • 未来への期待がなくなる

過覚醒

  • 不眠
  • イライラ、怒り
  • 集中困難
  • 過度の警戒心
  • 過剰な驚愕反応

これらの症状が1ヶ月以上持続した場合PTSDと診断します。 60%の人が生涯に1度以上トラウマを経験すると言われていますが、実際のPTSDの有病率は10%程度です。女性が男性より2倍なりやすいと言われています。

トラウマはタイプⅠとタイプⅡの2種類に分類できます。
タイプⅠは1回だけのトラウマのエピソードで、交通事故・地震などの自然災害が原因の場合です。これは単純性PTSDと呼ばれることもあり、薬物療法や心理療法によく反応します。

一方で、タイプⅡはトラウマに長期間、繰り返し遭遇した場合を指します。「幼少期から繰り返し虐待を受けた」「支配的な人にマインドコントロールされた(カルト集団など)」「学校で長期間凄惨ないじめにあった」「配偶者から繰り返しDVをうけた」などが当てはまります。これらの被害に遭われた患者さんに対しては複雑性PTSDもしくは特定不能の極度のストレス障害(以下DESNOS)と診断します。

当院を受診するPTSDの患者さんはほとんどが複雑性PTSDの方ですが、現在のPTSD研究は単純性PTSDに関するのもがほとんどで、複雑型に関しては明確な定義づけすらなされていないのが現状です。

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